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フリーランス新法による建設業に与える影響

(質問)
 フリーランス新法という法律が制定されるということを聞いたことがありますが、建設業においてはどのような影響が生じるでしょうか。

(回答)
 フリーランス新法(正式名称:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)が今年11月1日に施行されます。

1 フリーランス新法による規制
 フリーランス新法は、下請法と同様に、事業者に対して報酬を減額したり、受領を拒否したりすることが禁止されています。
 そしてフリーランス新法は、個人事業主にとどまらず、代表者以外に役員がおらず、かつ従業員を使用していない会社も保護の対象となります(対象者を法律上「特定受託事業者」といいます。)。
 建設業においては、一人親方といった個人事業主や、小規模な会社との取引は頻繁にあるため、特にフリーランス新法について知っておくべき業界であるといえます。
 そして、下請法とは異なり、委託業者の資本金に関する要件(資本金1千万円以上)がないため、法人個人を問わず、特定受託事業と取引をするすべての人が法律違反に注意しなくてはなりません。

2 建設業において特に注意を要する事項
 特定受託事業者との業務委託契約は、契約条件(給付の内容、報酬の額、支払期日等)を書面又は電磁的記録で明示しなくてはなりません。
 口約束での契約は違法となります。
 もっとも、相手がフリーランス新法の保護の対象であるか否かを問わず、契約書を作成すべきであることは言うまでもありません。
 また、支払期日についても規制があり、特に再委託する場合には発注元からの支払いを受ける期日から30日以内に報酬を支払わなくてはならないことは特に注意が必要です。
 下請け、孫請けとして特定受託事業者に業務委託をする際には、この規制に注意しなくてはなりません。
 他に、契約の中途解約にあたっては解約日前30日前までに予告しなければならない、ハラスメント対応措置を取らなくてはならないなど、労働者類似の扱いを求める定めも存在します。
 業務委託の相手方も自社の従業員と同様の処遇としなくてはならないというということです。

3 法律に違反した場合には
 フリーランス新法に違反するような行為があった場合には、勧告、公表、命令と段階を踏んでなされ、命令違反をした場合には、50万円以下の罰金に処されることになります。
 他にも中小企業庁長官から法律違反がないかについて報告徴収・立入検査がなされることになり、これらに違反した場合も50万円以下の罰金に処されることになります。
 違法業者の烙印を押されないためにも法改正についてもきちんと把握する必要があります。
 ここだけでは話しきれない法規制が存在するため、契約書の作成含めて業務委託契約の際に気になることがあれば、いつでもご相談ください。