今話題のテレワークについて、そのメリットとデメリット、導入するために必要なことを教えてください。
(回答)
1 今後はテレワーク導入が必須となる!
テレワークとは、会社のオフィスから離れた場所で働くことをいいます。
テレワークは、近時の働き方改革の流れを受け、また新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、今、急速に広まりをみせており、東京都では、令和3年2月時点で約65%もの企業がこれを導入しているとされています。
このテレワークは、感染症への対策として有効であることはもちろんのこと、育児や介護のためのキャリアロスが問題視されている現代社会においては、従業員に仕事と育児や介護との両立を可能にさせ、安心して働き続けることのできる環境を提供する手段として、今後、企業が採るべき必須の手段となっていくものと考えられます。
2 メリットとデメリット
テレワークを採用するメリットは、まず何よりも、仕事と育児や介護とを両立させたいと考える労働者に訴求し、新たな人材採用への足掛かりとなることや、既存の従業員の流出を防止することが期待できるということです。
また、テレワーク導入に向けてITツールを導入したりペーパーレス化を進めることは、結果として業務効率化や業務改善にも繋がることとなります。
他方で、テレワークを実施する場合、情報セキュリティ上の問題が生じやすくなるという点や、従業員同士のコミュニケーションが不足しがちになる点にデメリットがあります。
また、同時に、会社以外の場所で勤務する従業員の労働時間をどのようにして適正に把握するかということも、大きな問題となります。
もっとも、これらのデメリットは、きちんと制度を整備することで解消したり、リスクを軽減することができるものです。
3 テレワークの導入には何が必要?
テレワークを導入する際、テレワーク勤務時に採用する労働時間制度や、その他の労働条件が通常勤務の時と同じである場合は、必ずしも就業規則を変更する必要はありません。
もっとも、通常は、就業規則上、新たにテレワークを定義した上で、テレワークを実施する対象者、申請方法、服務規律、労働時間、出退勤管理、賃金や費用負担などについて、ルール作りをすることが必要となります。
この際、特に重要となるのが、労働時間の管理方法についてしっかりと定めておくことです。具体的には、始業・終業の旨を、メールや電話などの方法で連絡することが考えられます。現在は様々な企業から勤怠管理ツールが提供されているため、そういったものを利用することも有効です。
また、従業員が私用で業務を離れることによって生じる中抜け時間をどのように取り扱うかということも、ルールを決めておくことが必要です。
さらに、前記の情報セキュリティリスクを軽減するため、セキュリティガイドラインを策定することや、従業員間のコミュニケーションを円滑にするため、ウェブ会議システムやチャットを有効に活用した制度設計をすることも望まれます。
4 働きやすい職場環境づくりへ
人材確保が困難となった現在、従業員に働きやすい職場環境を提供し多様な人材の確保を目指すことは、企業が選択しうる生き残り戦略の重要な手段です。
「働きやすさ」とは、従業員が誇りとやる気を持ち、スキルの向上と自己実現を妨げられることなく目指していける環境をいいます。テレワークの導入や、フレックスタイム制などの柔軟な労働時間制度を採用することにより働き方の多様性を確保することは、企業が従業員に提供することができる「働きやすさ」の1つの形といえます。
テレワークの導入を始め、より働きやすい職場環境を作るための就業規則の整備等にお悩みの場合は、ぜひ弁護士にご相談されることをお勧めします。