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お金の貸し借りにはご注意を!

(質問)
個人間でのお金の貸し借りをめぐる問題点や注意事項について教えてください。

(回答)
1 お金の貸し借りをめぐるトラブル
当事務所も,お金の貸し借りをめぐる相談を受けることが多々ございます。その中で一番多い 相談が,「お金を貸したのに返してくれない」というものです。
このような場合,まずは,借主に対してお金を返すようにと連絡をとるのですが,もう少し待ってほしいなどと言われるのであればまだましな方で,そもそもお金を借りていない,あのお金は貰ったものだ等と反論されることもあります。こうなってしまっては,貸主と借主の人間関係は完全に破壊され,後は,泥沼の争いが待ち受けることになります。
皆様は金の貸し借りをめぐるトラブルの原因は,どこにあると思われますか?安易にお金を貸した方が悪い,借主の不誠実な態度が悪い等,様々なご回答が想定されますが,法律家としては,貸主と借主の合意内容が客観的に明らかになっていないということが,大きな問題だと思います。貸主と借主の合意内容が不明確であると,貸主はお金を貸したつもりだったが,借主は貰ったつもりだったなど,認識の相違が発生し,トラブルに発展しやすいからです。

2 重要なのは客観的な証拠!
お金の貸し借りをめぐるトラブルを未然に防ぐためには,まずは,相互に認識の相違,簡単に申し上げれば勘違いが生じないよう,合意内容を書面(契約書)で明らかにするべきです。契約書には,最低限,①貸付金額,②借主に金銭を交付したこと,③返済方法及び返済期日,④利息の有無及び利率について,定めるようにしましょう。そして,契約書には,契約書の作成日を記載し,また貸主及び借主の署名押印をします。加えて,お金を貸したときには,送金証明書や領収書など,お金を渡したという痕跡を残しておくとよいでしょう。
ただ,親しい者同士のお金の貸し借りの場合,なかなか契約書まで作成するのが難しいと仰る方もいます。そのような場合であれば,お金の貸し借りに関する約束事につき,メールやライン等でやりとりをしたり,口頭でのやりとりを録音したりして,客観的に約束の内容を明らかにできるようにしましょう。そのようにすれば,貸主と借主の間で,お金の貸し借りに関する認識の相違が発生するリスクを低減できるからです。
なお,当職としては,親しい者同士こそ,金銭の貸し借りで人間関係を壊さないよう,契約書を作成してほしいと思っています。

3 借主がお金を返してくれなかった場合は,どうすればいいの?
借主がいつまでたってもお金を返してくれない場合,どうすればいいのでしょうか。
この場合は,残念ながら,訴訟などの法的手続きをとらざるを得ません。
そ して,訴訟をする場合,訴訟を提起した人が,自らの主張を正しいと裏付ける証拠を提出する必要があります。その際,裁判所は,契約書等の客観的な証拠を重視しますので,口約束だけでお金を貸してしまうと,勝訴の確率はどうしても低くなってしまいます。この点からも,お金を貸す際は,契約書を作成することが重要といえます。
後で嫌な思いをしないためにも,トラブルを事前に防止することを心がけましょう!