当社ではメンタルヘルス不調により休職中の従業員Yから、休職期間満了間近に、復職可とする主治医の診断書が提出されました。
しかし、Yと面接した限りでは、到底仕事に復職できる状況ではなさそうに見えます。
当社としてはどのように対応すれば良いでしょうか。
(回答)
1 主治医の診断の重要性
復職の要件である「治癒」とは、「従前の職務を通常の程度に行える健康状態に復したときをいう」と考えられています。Yの主治医の「復職可」という診断は、Yの意向を色濃く反映したものになりがちで、中小企業の経営者は不満を感じることもしばしばあるようです。
これは、主治医は、診療を踏まえた従業員の現況は把握しているものの、職場における従業員の担当業務の内容、必要とされる業務遂行能力、配置可能な他の業務等については、直接知り得る立場にないためです。
もっとも、休職期間満了時に休職者が本来業務に就く程度には回復していなくても、ほどなくそのように回復することが見込まれる場合には「治癒」していないとして休職期間満了により労働契約を終了させるのではなく、可能な限り軽減された業務に就かせるべきであると考えられています。
2 産業医の受診を命じることができるか。
中小企業の主治医の診断に納得できない場合は、産業医への受診を勧 めることになります。
産業医は、健康診断等の実施、作業環境の維持管理、作業の管理、労働者の健康管理等の職務を行うこととされており(労働安全衛生法第13条、労働安全規則第14条)、休職者の職場の状況を把握しています。
会社として復職の判断をする際には産業医の診断も重要になるので、Yに働きかけて、産業医に受診してもらうことになりますが、Yが産業医への受診を拒む場合には、業務命令として産業医への受診を命令することが考えられます。
なお、就業規則に定めの有無にかかわらず、Yが産業医への受診命令に従わない場合には、休職者を無理やり産業医のもとに連れて行くわけにはいきませんので、復職の判断の際にその事実を考慮するしかないと思われます。
仮に、産業医の診断書が提出されて、中小企業とすれば、主治医の診断と異なった場合は、中小企業が産業医の診断に従って復職の判断をすることも合理的理由があります。
3 回答
貴社は、Yの主治医の診断書に違和感を感じている以上は、Yに対して産業医への受診を命じることになります。