リスクマネジメントとは何ですか?
(回答)
1 リスクマネジメントとは
リスクマネジメントとは,簡単に言えば,①自己の会社内に存在する様々なリスクを洗い出し,②そのリスクの発生を事前に予防する,③リスクが発生した場合の対策を練ることにより,会社の損失を抑えようとするものです。
今回は,リスクマネジメントの考え方のうち,リスクの事前予防(②)について,説明したいと思います。
2 不正発生のメカニズム
一般的に,⑴動機,⑵機会,⑶正当化という3つの要素が存在する場合に,組織内において不正が発生するリスクが高まると言われています。この3要素を「不正のトライアングル」といいます。
⑴動機・・・組織内の他者と共有されない個人的なものであることが多く,かつ経済的な性格を帯びていることが多いです。
⑵機会・・・不正に対して不十分な内部統制,脆弱な経営監視,組織内の地位・権威といったものにより,不正の「機会」を与えてしまいます。
⑶正当化・・・不正を行う人自身が,自身の不正行為を積極的に是認しようとすることで良心の呵責を乗り越えようとするものです。
典型的な例としては,多額の借金を抱えている(⑴不正の動機がある)経理担当者が,1人でその経理事務を担当しており上司の監督が不十分である場合(⑵不正の機会がある)に,その経理担当者が「盗るわけではなく一時的に借りるだけだ」などという⑶正当化をすると,横領という不正行為が発生することになります。
3 リスクを事前に予防するには?
事前にリスクを予防するには,基本的に,不正のトライアングルにいう3つの要素のうち1つでも排除する対策を取ることが肝要です。
このうち,⑴動機,⑶正当化については,組織風土の緩みなど組織の問題という側面と個人の問題という側面があるため,会社だけではどうしようもない場合もあります。他方,⑵機会については,基本的に会社に問題の所在がありますので,会社としては,対策を取りやすく,⑵機会を排除する対策を取ることが最も効率的です。
上記の例でいえば,経理担当者を複数にする,上司のチェックが及ぶ体制を作る,監視カメラを設置するなどが考えられます。
また,リスクは,社内の不正に限られません。労務管理,ハラスメント,クレーム等において様々なリスクが考えられます。この機会に一度,自社のリスクについて検討されてはいかがでしょうか。