録画したドラマをインターネット上で流れているのをよく見るのですが,問題ないのですか?
(回答)
1 著作物とは
著作権の対象は,著作物です。
著作物とは,法律によれば,思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものと定義されています。このように定義をしてもわかりにくいかと思いますので,ここでクイズを出しましょう。
次の内,著作物と認められるものは何でしょうか。
①子供の描いた絵
②キャッチフレーズ
③新聞の死亡記事
いかがでしょうか? ①から③の内,一般的に著作物と認められるものは,実は,①だけです。
子供の絵も著作物といえるの?と意外に思われる方もいらっしゃるかと思いますが,実は,子供の絵も立派な著作物なんです。著作物とは,最初に述べましたように,思想や感情を創作的に表現したものです。思想や感情というのは,つまり人間の精神活動の所産であることいい,創作的というのは,著作者自身個性の表出と認められるものであれば足りるとされています。子供の絵というのは,子供の精神活動の所産ですし,子供の個性が表れていますから,立派に著作物といえるんです。
これに対し,②のキャッチフレーズは,ケースバイケースなのですが,一般的に保護の対象にはなりにくいとされています。キャッチフレーズは,短い言葉で表現されていて,法律で保護されるほどの創作性が認められないことが多いからです。
また,③については,単なる事実の伝達に過ぎないため,思想又は感情の表現とはいえませんし,創作的ともいえませんから,著作物には当たりません。
ちなみに,著作権は,登録等の特別な手続なしに発生しますので,この点もご注意下さい。
2著作権とは
では,著作権とは何でしょうか。実は,著作権は,権利の束と言われており,様々な権利の集まりなんです。大きく言えば,著作物の排他的利用を決めることができる権利なのですが,その中には,複製権,上映権,上演権,展示権等・・・様々な権利が含まれています。なので,冒頭の著作権とはどのような権利かという質問に一言で答えるのは,実は,法律家でも難しいんです。
著作権を詳しく説明することは困難なので,まずは,著作権のうち,もっとも一般的な複製権について考えてみましょう。
複製とは,印刷,写真,複写,録音,録画その他の方法により,有形的に再製することをいいます。著作権者は,他人に無断で著作物を複製されない権利を持っているということです。
では,自宅で,大好きなドラマを録画することは,著作権法違反にならないのでしょうか。
ドラマには,当然著作権が及んでいますよね。では,これを録画し,複製する行為は,著作権法違反になるとも思えます。
しかし,著作権法で,「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」,つまり私的な使用については,複製することが許されているのです。そのため,自宅でドラマを録画しても,著作権法違反にはならないのですね。
では,録画したドラマを,インターネット上にアップロードしたとすれば,どうでしょうか。インターネット上にアップロードすると,不特定多数人がアクセスしますよね。そうなると,もはや私的な使用とはいえなくなるので,著作権法違反となります。
違法にインターネット上にアップロードされたドラマ等を,そうと知りながら私的使用目的でダウンロード(複製)する行為は,どうでしょうか。実は,このような行為も著作権法違反となり,しかも刑事罰(2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金)まで設けられているんです。
最近は,インターネット上に著作権法違反と思われる画像等が多くアップロードされていますので,十分気をつけて下さい。