ネットショッピングをしていて気になったのですが,「「このお茶を飲むだけで10キロやせます」といった表示をしてもいいのですか?
(回答)
1 ネットを使った虚偽・誇大広告
誇大広告等の禁止については,特定商取引法第12条の次のとおり規定されています。
「事業者は、通信販売をする場合の商品・サービス等の提供条件について広告をするときは、サービスの性能・内容、クーリングオフ・契約解除についての特約や、その他の経済産業省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をしたり、実際のものよりも著しく優良であったり、有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。」
今回の相談のケースは,「著しく事実に相違する表示」や「実際のものより著しく優良であり,もしくは有利であると人を誤認させるような表示」にあたる疑いが強いです。
経済産業省が事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることがあります。これに答えることができなければ,「著しく事実に相違する表示」や「実際のものより著しく優良であり,もしくは有利であると人を誤認させるような表示」であるとみなされます。
虚偽・誇大広告の表示をした販売業者は100万円以下の罰金や業務停止命令の対象となります(15条,72条3号)。
2 一般の消費者が基準
他にはどのような表示があるかというと,すでに新型ではなくなっているパソコンを最新機種と表示したり,実際に農林水水産省と関わりがないのに農林水産省認定と表示したり,偽物を有名ブランドの商品であるかのように誤審させるような表示が考えられます。
ただし,このような表示が必ず違法であるというわけではありません。前述のとおり,「著しく」に該当するかがポイントです。
商品を購入する方も多少の誇張がなされているかもしれないことは予想できると思いますが,「著しい」と定められているのは,そのような通常の場合を超えた「著しい」場合のみ違法となるという意味です。
著しいか著しくないかという判断は,具体的には,個々の広告について判断されますが,例えば,一般の消費者が広告に書いてあることと事実とが違うことを知っていれば,当然,契約することはないような場合は,「著しい」といえます。
つまり,特定商取引法は,訪問販売など消費者トラブルを生じやすい特定の取引類型を対象に,トラブル防止のルールを定めて,事業者による不公正な勧誘行為等を取り締まることにより,消費者取引の公正を確保するための法律ですので,消費者の目線が基準となります。
同じように,「誤認するような表示」かどうかの判断も,一般消費者からみて誤認するかどうかを基準とします。
3 契約の解除や取消し
虚偽広告や誇大広告を信じて商品を買ってしまった場合,契約の解除や取消しはできるのでしょうか。
販売業者が故意に虚偽の事実を表示して,消費者を騙して商品を購入させたような場合は,詐欺に当たりますので,取り消すことができます。
また,ケースによっては,消費者契約法による取り消しも考えられます。
具体的な事案によって異なりますので,弁護士にご相談ください。