当社の業務は,屋外での作業が多く,雨の日には仕事ができません。そこで,雨の日を休日とする扱いをしたいのですが,どのような点に注意すべきでしょうか。
(回答)
1 休日と休業の違いは
屋外の業務で雨天時に仕事ができない場合には、仕事を休みにしたいという中小企業もあると思います。この場合、休業手当の支払は必要なのか、休日を雨の日に振り替えることができないか、できるとして必要な手続は何か等という点が、問題となります。
ここではまず、休日と休業の違いを押さえておく必要があります。
休日とは、労働者が労働契約において労働義務を負わない日のことをいいます。一方、休業とは、労働者が労働契約において労働義務を負う時間につき、労働することができなくなることをいいます。つまり、休みの日が、もともと労働者が労働義務を負う日であるか否かで異なります。
2 休業手当の支払い義務があるか。
休業については、それが使用者の責めに帰すべき事由による場合には労働者に対し、休業手当(平均賃金の6割以上)を支払わなければなりません(労働基準法第26条)。
天候は自然現象であり、雨天は「使用者の責めに帰すべき事由」かどうかは難しい問題があります。これは、休業手当の支払義務を定める上記規定は、労働者の最低生活を補償する趣旨で規定されていますから、「使用者の責めに帰すべき事由」が広く解されているためです。
したがって、雨によって仕事ができなくなったため、当日急遽休みにするという場合には、もともと労働日であった以上、企業は休業手当を支払わなければならないリスクがあります。
3 休日を振替えるには
そこで、中小企業とすれば、休業手当の支払いを回避するため、雨の日に休日を振り替えるという方法が考えられます。休日にしてしまえばその日はもともと労働義務を負わない日になり、休業とはなりませんので、休業手当の支払いの必要がなくなります。
ただ、注意しなければならないのは、原則として休日は、午前0時か ら午後12時までの24時間与えなければならない点です。したがって、
前日中に休日の振替をしなければなりません。
また、労働契約上の休日を変更するわけですから、労働協約や就業規則で、雨の日には休日を振り替えることができる旨を規定しておくことが必要となります。
4 回答
貴社が、雨の日を休日にしたいというのであれば、就業規則に休日の振替の規定を設けた上で、休日の振替を行うこととなります。
しかし、従業員からすれば、例えば、度々前日に休日の振替を行われると家族との休日の予定に支障が出ることもあるので、休日の振替は必要でやむを得ない場合に行うのが望ましいと考えます。