ロシアンルーレット条項とはなんですか?
(回答)
1 合併解消のルール
複数の企業が共同で出資して合弁会社を設立することが、ビジネスの世界ではよくあります。
サントリーが、現地大手との共同生産・販売で、中国ビール事業の立て直しを図るため、中国ビール2位の青島ビールと上海市に合弁会社を設立したことがあります。
しかし、合弁会社を設立するときに、株主の持ち株比率が同じである場合には注意が必要な点があります。
例えば、P社とQ社がそれぞれ50%ずつ出資して合弁会社であるR社を設立したとしましょう。
この場合、P社とQ社が対立してしまうと、いずれも過半数の株式を有していないので、R社の株主総会において何も決定できなくなってしまうのです(このような状態をデットロックといいます。)。
デットロックになってしまえば、もはや合弁を解消するしかありません。
そこで、あらかじめ契約で合弁解消のルールを定めておくのがロシアンルーレット条項です。
ロシアンルーレット条項とは、一方の当事者が株式の単価を決定し、他方の当事者が、相手方の保有する株式の全部を買い取るか自己の保有する株式の全部を売り渡すかのいずれかを選択することができるという条項です。
2 ロシアンルーレット条項の具体例
先ほどの例でいえば、仮にR社の株式の時価が1万円の場合、P社が合弁を解消しようと考えロシアンルーレット条項により株式の単価を5000円に設定すれば、Q社がP社の所有する株式を時価よりも安い5000円で買い取るということを選択するでしょう。
この場合は、P社は安価で自己の所有するR社の株式をすべてQ社に売り渡すことになるため、P社は損をすることになります。
結局P社は、これらのリスクを考えたうえで、妥当な株式の単価を設定することになります。
3 名前の由来
もともと、ロシアンルーレットとは、リボルバー式拳銃に一発だけ実弾を装填し、適当にシリンダーを回転させてから自分の頭に向け引き金を引くという一歩間違えれば高い価格で自分が大損することが、まるでロシアンルーレットのようであることから、ロシアンルーレット条項と名付けられたのです。