瑕疵担保責任という言葉をよく聞くのですが、法律上、それに関する規定はどうなっているのでしょうか?
(回答)
1 買主の通知義務
まず、民法の場合、買主は瑕疵を発見した場合に責任追及をすればよく、責任追及の前提として必要な行為は要求されていません。
しかし、商人間の場合、買主は土地の引き渡しを受けた後、遅滞なく瑕疵の有無を確認し、瑕疵があった場合、売主に対して通知する必要があります。この通知を怠ると瑕疵担保責任を追及できなくなるのです(商法526条1項)。
これは売主に対し瑕疵ある商品の対処等を検討させるとともに、買主の投機的な行動(解除の是非を商品相場の動向を見て決める等)を防止するために設けられています。
2 瑕疵が発見できない場合
では、引渡直後に瑕疵を発見できない場合はどうでしょうか。
この場合、買主が土地引渡後6か月以内に瑕疵を発見した場合であれば、責任を追及することが可能です(同条2項)。
買主保護を図るとともに、期間制限を設けることで売主がいつまでも不安定な立場に置かれることを防止しているのです。
このように、買主としては、売主が瑕疵の存在を知っていた場合(同条3項)を除き、売主に対して瑕疵担保責任を追及できない場合がありますので、民法との違いに十分注意する必要があります。
3 債務不履行責任が認められたケース
もっとも、商人間売買の事案で、6ヶ月経過後に買主が土壌汚染を発見した事案について説明・報告すべき信義則上の付随義務があるとして、債務不履行責任に基づき土壌浄化費用等の一部の支払を命じた判決(東京地裁判決平成18年9月5日)も存在しますので、売主としても期間が経過すれば常に責任を負わなくなるとまでは言い切れません。
4 宅建業法の特例
次に商法以外の規定も見てみましょう。
売主が宅地建物取引業者(以下「宅建業者」と言います。)、買主が個人の場合において、「引き渡しの日から2年以内に限り瑕疵担保責任を負う。」との特約があった場合、これは有効でしょうか。
民法上は、瑕疵発見から1年以内との制限があります(民法566条3項)が、宅地権物取引業法40条では、宅建業者が自ら売主となる場合、瑕疵担保責任の期間について、民法より買主に不利な条件を無効としています。
しかし、同時に、責任期間を引渡しから2年に限定する事は例外的に許されています。