夫が亡くなりました。賃貸の家に住んでいたのですが,夫名義で借りていました。
今の家を出ていかなければならないのでしょうか?
(回答)
1 賃借権の相続
相続される財産というと,現金や預金といったイメージがありますが,他にも例えば,賃借権も相続できます(賃借権:賃貸借契約に基づき,賃借人が契約の目的物を使用・収益する権利)。
したがって,夫が死亡した場合でも,妻や子どもは同じ家に住み続けることができます。
ただし,内縁の妻の場合は,相続権がありませんので,賃貸人から明け渡しを求められる可能性があります。
2 生命保険金の相続
例えば,交通事故で亡くなったような場合は,遺族が加害者に対して損害賠償請求できますが,亡くなった方の慰謝料請求権を相続したとして,慰謝料の支払いも請求することもできます。
では,このような場合に支払われる生命保険金は,相続できるでしょうか。
実は,生命保険金は,相続財産に含まれないと考えられています。保険会社が受取人に支払うものですので,亡くなった方の財産が相続されているわけではないからです。
同じように,会社から支払われる死亡退職金や遺族年金も相続財産に含まれないと考えられています。
他には,仏壇やお墓なども相続財産には含まれません。
3 借金の相続
では財産ではなく,借金などの負の遺産はどうでしょう。
借金は,相続されます。借金の場合は,死亡と同時に相続分に応じて分割されます。
例えば,夫が1000万円の借金を残して死亡し,妻と子ども1人がいる場合,妻と子どもはそれぞれ500万円ずつの借金を相続することになり,弁済を求められる可能性があります。
同様に借金の連帯保証債務も相続されるのですが,責任の範囲が不明確な身元保証などの場合は,相続されされないと考えられています。
相続される財産より借金の方が多い場合は,3か月以内であれば,相続を放棄できます。
4 早めな対応が必要
上記のように3か月という短い期間が決められている場合もありますので,不安な場合は,早めに弁護士にご相談されることをお勧めします。