最近は,旅行会社やホテルの約款のように「5日前から前日までのキャンセルは,料理代金の50%をキャンセル料としていただきます。」とHPなどで明示されているお店も増えてきました。
では,このような記載がない場合,ドタキャンをしても一切キャンセル料は発生しないのでしょうか。
(回答)
1 契約の成立
法律的には,お店との契約はお店に予約の電話を入れお店が「○日に○名,予算○円で承りました。」と言った時に,契約は成立しています。
不思議に思う方もおられるかもしれませんが,このように口頭の合意であっても,契約の成立となります。
契約が成立すれば,お店は,その日の料理提供に向けて仕入れやバイト増員などの準備を始めます。大人数の予約の場合には,店を貸切にし,他の予約を断っていることもあります。
このようにお店は準備を始めますが,店を貸切にして他の予約を断っていたような場合にドタキャンがされると,食材費,人件費,他の客から得られたであろう売上の分が得られないという損害が発生する可能性があります。
このような損害が実際に発生した場合で裁判が提起された場合,全額が損害賠償額として認められるかは難しい問題ではありますが,一定額が損害として認められる可能性は十分にあるので,注意が必要です。
弁護士費用をかけてまでお店がドタキャンしたお客を訴えることは実際にはあまり多くはないとは思いますが,店に多大な迷惑をかけるという事実を認識し,皆さんには飲み会参加の可否について検討していただきたいと思います。
2 お酒に関するお話(余談)
今日は,紙面の余白がありますので,一つお酒に関連するお話をしようと思います。
皆様は,「酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律」という法律があることを御存知でしょうか。
この法律の第4条第1項は,「酩酊者が,公共の場所又は乗物において,公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をしたときは,拘留又は科料に処する。」と規定されています。
いずれにせよ,お酒は自分のペースを守って飲まなければならないことを認識させる法律です。
3 些細なことと思われることでも大きなリスクあり
今日のドタキャンに関連して,お店から損害賠償請求を受けたり,「酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律」に基づき逮捕されたというようなことが起これば人生の一大事ですので,弁護士にすぐにご相談ください。