ダフ屋を取締まる法律はあるの?

(質問)
 いわゆるダフ屋を取締まる法律はないのですか?

(回答)

1 ダフ行為とは 
 ダフ行為とは,コンサートやスポーツのチケットを購入し,買えなかった人に売る行為をいいます。このような行為を行う人のことは,(商売として行っていなかったとしても)「ダフ屋」と呼ばれます。
 ダフ行為自体を,規制する法律は存在しません。しかし,多くの地方公共団体の定める条例では,ダフ行為を取り締まりの対象としていることも多くあります。

2 迷惑防止条例 
 たとえば,岡山県では「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」(以下「迷惑防止条例」といいます。)を制定しています。
 この岡山県の迷惑防止条例の第9条では,「何人も,乗車券,急行券,指定券,寝台券その他運送機関を利用しうる権利を証する物又は入場券,観覧券その他公共の娯楽施設を利用しうる権利を証する物(以下「乗車券等」という。)を不特定の者に転売するため,又は不特定の者に転売する目的を有する者に交付するため,乗車券等を公衆に発売する場所において買い,又は公衆の列に加わつて買おうとしてはならない。2 何人も,転売する目的で得た乗車券等を,公共の場所において,不特定の者に売り,又は人につきまとつて売ろうとしてはならない。」と規定しており,ダフ行為を禁止しています。
 この規定に違反すれば,第14条に基づき罰則が科せられることとなっています。  
 第14条は,「第2条,第5条,第6条,第7条第1項又は第8条から第12条までの規定に違反した者は,50万円以下の罰金に処する。 2 常習として前項に規定する違反行為をした者は,6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と規定されています。

3 値段は関係なし 
 岡山県の迷惑防止条例第9条をよく見ていただければ分かると思いますが,元のチケットよりも高い金額での売却は要件となっていません。
 つまり,元のチケットと同じ価格もしくは安価でも,「公共の場所で」転売すればダフ行為として処罰の対象となるのです。

4 インターネットオークション 
 さて,昨今のインターネット社会で問題となっているのは,インターネットオークションでのチケット転売であろうと思います。
 インターネット上は,「公共の場」ではないと考えられていますので,インターネット上での転売行為は,実はダフ行為には当たりません。
 他方,インターネットオークションで転売するために,チケット売り場でチケットを購入する行為は,「不特定の者に転売するため,又は不特定の者に転売する目的を有する者に交付するため,乗車券等を公衆に発売する場所において買い,又は公衆の列に加わつて買おうと」する行為に該当しますので,ダフ行為に該当します。
 インターネットオークションに関して取締対象になっている行為は,転売自体ではなくチケット仕入れ行為なのです。