当社は,正社員だけでなく,アルバイトの方にも働きにきてもらっております。
この度,労働契約法が改正され,アルバイトの方などの期間の定めのある有期労働契約者が期間の定めのない無期労働契約への転換を求めることができるようになったと聞きました。
具体的にはどのような方が無期労働契約への転換を求めることができるのでしょうか?
(回答)
1 労働契約法改正の目的
1年契約,6か月契約など有期労働契約で働く労働者は,全国で1200万人と推計されています。
そして,有期労働契約で働く人の約3割が,通算5年を超えて有期労働契約を繰り返し更新している実態にあり、その下で生じる雇用止めの不安の解消が課題とされていました。
そこで,この課題に対処し,労働者が安心して働き続けることができる社会を実現するという目的で労働契約法が改正され(平成24年8月10日公布),労働者に無期労働契約への転換を求める権利(無期転換申込権)が認められました。
2 無期転換申込権が認められる労働者とは?
無期転換申込権が認められる労働者とは,同一の使用者との間で,有期労働契約が通算で5年を超えて反復更新された労働者です。
この場合,労働者は,その5年を超える契約期間の初日から末日までの間に,無期労働契約への転換の申込みをすることができます(労働契約法18条1項)。
なお,通算契約期間のカウントは,平成25年4月1日以後に開始する有期労働契約が対象となります。
例えば,契約期間が3年の場合,平成25年4月1日から有期労働契約が開始し,一回契約を更新すると,更新した有期労働契約の期間は,平成28年4月1日から平成31年3月31日までとなります。
この更新した有期労働契約の期間は,更新前の有期労働契約と合わせると契約期間が通算して6年となり,5年を超えます。
したがって,労働者は,更新した有期労働契約期間中に(平成28年4月1日から平成31年3月31日まで),無期労働契約への変更の申込をすることができます。
この申込みをすると,平成31年4月1日から,無期労働契約に転換します。
また,平成24年4月1日から1年契約を反復更新する場合は,次のようになります。
すなわち,通算期間のカウントは,成25年4月1日以後に開始する有期労働契約が対象となりますので,1回契約を更新した後の平成25年4月1日から始まる契約から5年のカウントが始まります。
したがって,6回契約を更新して初めて通算契約期間が5年を超えますので,6回契約を更新して平成30年4月1日から始まる契約期間中に,労働者は,無期労働契約への変更の申込みをすることができます。
3 空白期間があった場合には
以上,無期転換申込権について基礎を説明しましたが,その他にも,通算契約期間の計算において空白期間があった場合に,どの程度の空白期間であれば連続したものと扱われるのか,また事前に無期転換申込権を放棄させることができるのかなどの法的問題もありますので,無期労働契約の転換については一度弁護士にご相談されることをお勧めします。