ライバル社であるY社から、商品の形態を当社が模倣したという内容の警告書が届きました。
当社はどのように対応すれば良いでしょうか。
(回答)
1 形態模倣の有無の調査
貴社は、まず、不正競争防止法違反(形態模倣)の有無を判断するため、両商品の現物を確認することが必要となります。
その上で、同法第2条第1項第3号において、保護の対象外となる「当該商品の機能を確保するために不可欠な形態」にY社の商品が該当しないかどうかを検討することになります。
次に、商品の形態の模倣については、ありふれた商品の形態は該当しないので(同法第2条第4項)、Y社の商品がありふれた形態でないかどうかについて、検討することになります。
その際には、Y社の商品が「機能を確保するために不可欠な形態」やありふれた形態であることを示す証拠資料(他社商品に先行して販売開始されていた同種の商品に関するパンフレットや同種商品の現物等)を収集しておく必要があります。
2 販売開始時期の確認
Y社の商品の販売開始(又はサンプル出荷等の広告・営業活動開始)から3年以上経過していた場合には、Y社の商品は保護期間(同法第19条第1項第5号イ)を満了しているため、同法違反の問題は生じません。
Y社の商品の販売開始から3年以内の場合であっても、貴社の商品の方が先に販売等を開始している場合には、違法な模倣行為(同法第2条第1項第3号、同条第5項)に当たらないと判断される可能性があります。
3 自社商品の企画・開発
不正競争防止法上違法とされる「模倣」は、他人の商品の形態に依拠して、実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいいます(同法第2条第5項)。
したがって、貴社の商品開発の過程において、他社商品を参考にすることなく、独自の視点・観点から研究・開発等を行ったと言うことができれば、同法上違法とならない可能性があります。
4 形態模倣リスク
形態模倣による不競法違反が争われている事案においては、相手方から差止請求(同法第3条)や損害賠償請求(同法第4条)がなされるリスクがあります。
そして、損害賠償請求においては、侵害している会社が当該商品の販売により得た利益をもとに賠償すべき損害額が推定されます(同法第5条)。
貴社は、商品の製造過程において実際にY社の商品の模倣を行ったかどうか、相手方商品が当該商品の機能を確保するために不可欠な形態かどうか等の検討を行うべきです。
その上で、形態模倣と判断されるリスクが高い場合には、差止め、損害賠償等のリスクを考えて、和解を視野に入れた交渉を行うべきであり、逆にそうでなければ根拠を示しつつ形態模倣でない旨の反論を行うべきです。