当社では、営業部長が競合会社と入札談合をしているという噂があり、本人に確かめたところ事実でした。
当社はどのように対応したら良いのでしょうか。
また、入札談合のリスクについて教えてください。
(回答)
1 刑事責任リスク
入札談合とは、公共事業などの競争入札において、競争するはずの業者同士が予め話し合って協定し、高い価格での落札や持ち回りでの落札で、業界全体で利益を不正に分け合うことです。
公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的で、談合した場合は談合罪(刑法第96条の6第2項、法定刑は3年以下の懲役又は250万円以下の罰金)に該当します。
また、偽計又は威力を用いて、公共の競売又は入札の公正を害するべき行為をした場合は競売入札妨害罪(同第96条の6第1項、法定刑は上と同じ。)に該当します。
談合罪等で社内から逮捕者を出すと、新聞等に社名が出て、会社のレピュテーションが下がるリスクが高いといえます。
2 独占禁止法違反リスク
入札談合に対しては、行為者については5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処せられるリスク、法人については5億円以下の罰金に処せられるリスク、入札談合の計画を知っていて、その防止に必要な措置を講じなかった等の事情がある法人の代表者については500万円以下の罰金に処せられるリスクがあるとともに、課徴金が課せられるリスクがあります。
3 課徴金減免制度
課徴金減免制度は、事業者が自ら関与したカルテル・入札談合について、その違反内容を公正取引委員会に自主的に報告した場合、課徴金が減免される制度です。
公正取引委員会の調査開始日前に1番目に申請した場合には免除とされています。
公正取引委員会の調査開始日前の申請で2番目に申請した場合は50%、3番目以降5番目までの申請については30%の減額とされています。
ただし、4番目以降の申請については公正取引委員会がまだ把握していない事実を報告する場合に限ります。
また、調査開始日前後併せて最大で5社まで減免可能です。もっとも、調査開始日後については、3社まで減額可能で、各社30%の減額となります。また、公正取引委員会がまだ把握していない事実を報告する場合に限ります。
4 入札談合のリスク
貴社は、談合により、談合罪、独占禁止法の刑事責任のほか、課徴金が課せられるリスクがあります。
課徴金については、課徴金減免のため、迅速に公正取引委員会に談合事実の報告と資料の提出を行う必要があります。