(質問)
当社は、多額の売掛先でもあるY社から、経営が厳しいので、スポンサーとして資金的な支援をするか、売掛金の支払を猶予してほしいとの要請を受けました。
この場合、当社としてはどのような点に留意すべきでしょうか。
当社は、多額の売掛先でもあるY社から、経営が厳しいので、スポンサーとして資金的な支援をするか、売掛金の支払を猶予してほしいとの要請を受けました。
この場合、当社としてはどのような点に留意すべきでしょうか。
(回答)
1 支払猶予等のリスク
ご質問のケースでは、貴社はY社に対し、既に支払不能や倒産のリスクが生じている段階で、新たなリスクを伴う資金の支援や売掛金の支払の猶予をすることとなります。
したがって、そのようなリスクを伴う行為をすることについて、会社の取締役の忠実義務・善管注意義務の違反が問題とされるリスクがあることに注意すべきです。
2 対策
貴社は、Y社から、決算書等財務状況が分かる書類の開示を求めるとともに、その内容を確認して、Y社の財務状況の実態を把握すべきです。
次に、Y社が貴社の資金支援や支払猶予により、今後どのように資金繰りができるのかの情報を聴取する必要があります。
加えて、Y社が第三者に対して有する債権を、貴社が物上代位して、差押え、転付命令を求めることも想定して、Y社の取引先の情報を取得しておくことも有益です。
その上で、貴社は、Y社への資金支援や支払猶予の条件として、新たに連帯保証人を取る、物的担保を要求する、逆にY社から商品を購入して相殺の主張ができるようにしておくなどといった債権回収のための予防策を採るべきです。