簡易新設分割とは

(質問)
 当社は、一部の事業を新設分割により分割化して、Y社の子会社にしたいと考えています。
 そこで、簡単に新設分割をする方法について教えてください。

(回答)

1 組織再編の意義
 企業においては、M&Aのほか、効率的な事業運営や事業部門の拡大や、事業再生等を目的として組織再編を検討する必要が生じます。
 組織再編には、①合併(吸収合併、新設合併)、②会社分割(吸収分割、新設分割)、③株式交換(完全子会社の発行済株式全部を新会社に取得させること)、④株式移転(1又は2以上の株式会社がその発行済株式全部を新たに設立する持株会社に取得させることで、持株会社を創る場合に用いられます。)、⑤事業譲渡があります。

2 簡易新設分割とは
 新設分割会社は、本来、新設分割計画を株主総会の特別決議で承認を受ける必要があります(会社法第804条第1項)。
 しかし、簡易新設分割であれば、株主総会の承認決議が不要となります(同法第805条)。
 これは、小規模な組織再編であれば、株主への影響も軽微であることから、株主総会の決議の省略が決められたものです。

3 簡易新設分割の要件(いわゆる5分の1ルール)
 新設分割により新設分割設立会社に承継させる資産の帳簿価額の合計額が新設分割会社の総資産額の5分の1(定款でこれを下回る割合を定めたときはその割合)以下という要件を満たす必要があります(同法第805条)。
 なお、簡易吸収分割の場合は、吸収分割会社側の資産の5分の1ルールに加えて、吸収分割承継会社が吸収分割会社の株主に対して支払う対価が、吸収分割承継会社の純資産額の5分の1以下となることも必要です(同法第796条第3項)。

4 反対株主の権利
 簡易新設分割に該当すれば、株主総会の承認決議が不要であるばかりか、反対株主の株式買取請求は認められず(同法第806条第1項第2号)、株主は新設分割の差止請求権もありません(同法第805条の2但書)。