(質問)
当社では、代表取締役が資金を拠出し、名義上は親族Yに株を持たせています。
当社は、これまでYに配当をしてきましたが、将来、何か問題になるでしょうか。
当社では、代表取締役が資金を拠出し、名義上は親族Yに株を持たせています。
当社は、これまでYに配当をしてきましたが、将来、何か問題になるでしょうか。
(回答)
1 名義株とは
名義株とは、他人名義を借用して株式の引受けや払込みがなされた株式をいいます。
そもそも会社としては、株主名簿上の株主を株主として取り扱えば足ります。
しかし、名義株については、将来、代表取締役とYが株式の帰属について争ったり、貴社がM&Aで株式を売買しようとする際に、Yが協力しないなどのリスクがあります。
2 真実の株主とは
判例では、「他人の承諾を得てその名義を用い株式を引受けた場合においては、名義人すなわち名義貸与者ではなく、実質上の引受人すなわち名義借用者がその株主となるものと解するのが相当である。」として、実質上の引受人が株主であるとされています(最高裁判所昭和42年11月17日判決)。
3 実質上の株主の認定基準
上記判例によると、実質上の株主の認定に当たっては、以下の事情を総合的に考慮して判断することになります。
①株式取得資金の拠出者
②名義貸与者と名義借用者との関係その間の合意の内容
③株式取得の目的
④取得後の利益配当金や新株等の帰属状況
⑤名義貸与者及び名義借用者と会社との関係
⑥名義借の理由の合理性
⑦株主総会における議決権の行使状況等
4 まとめ
代表取締役が払込金を拠出したとしても、それだけでは代表取締役が株主であると認定されるとは限りません。
貴社はYに配当をしてきたということですが、会社設立後から長年Yに利益の配当をしてきたという事実は、名義人である親族が実質上の株主であると認定される方向に働くリスクがあります。
名義株は、将来的に、株式の帰属でトラブルになるリスクがあるので、貴社としては、早期に真実の株主を確定させておくべきです。