(質問)
当社は、事業を拡大するため、取引先から出資をしてもらうことになりました。しかし、そうすると、現在の株主の持株比率が下がってしまい、会社を支配できなくなるのではないかと不安です。
何か良い方法はないでしょうか。
当社は、事業を拡大するため、取引先から出資をしてもらうことになりました。しかし、そうすると、現在の株主の持株比率が下がってしまい、会社を支配できなくなるのではないかと不安です。
何か良い方法はないでしょうか。
(回答)
1 種類株式とは
株式会社では、株主が保有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならないとされています(会社法第109条第1項、株主平等の原則)。
しかし、これには例外があり、定款の定めにより内容の異なる複数の種類の株式を発行することが認められており(同法第108条)、これが種類株式と呼ばれるものです。
会社法では、①剰余金の配当の優先株式、②残余財産の分配の優先株式、③議決権制限の株式、④譲渡制限株式、⑤取得請求権付株式、⑥取得条項付株式、⑦全部取得条項付種類株式、⑧拒否権付種類株式、⑨取締役・監査役の選任に関する種類株式の9つの種類株式が認められています。
2 種類株式の活用
企業にはさまざまな事情がありますが、それぞれの事情に応じ、種類株式を活用することは、経営法務リスクマネジメントの観点からは大変重要となります。
例えば、拒否権付種類株式は、社長が後継者に株式の大半を譲渡した後、後継者が合併、会社分割等といった重要行為を行うリスクをヘッジしようとしてこれらの重要行為に対して、拒否権付株式を保有することなどが考えられます。
3 まとめ
ご質問のケースでは、新たに出資した取引先に対しては、剰余金の配当について優先はするものの、議決権のない株式を発行することにより、現在の株主の会社支配権を引き続き維持できるものと考えられます。