ソフトウェア管理リスク

(質問)
 当社は、Y社から同社の管理するソフトウェアの著作権を当社が侵害しているので、当社のソフトウェア総数とそれらのソフトウェアがライセンスを有しているかどうかの調査をしてもらいたい旨の通知を受領しました。
 当社は、Y社の通知に応じる必要があるでしょうか。

(回答)

1 ソフトウェア管理のリスク
 Word、ExCel等のソフトウェアは、プログラムの著作物(著作権法第10条第1項9号)に該当します。したがって、このようなソフトウェアを著作権者の許諾なく複製すると、著作権侵害になります。  
 このように、中小企業においては、ついついソフトウェアの違法な複製を行ってしまうリスクがあるので注意が必要です。

2 ソフトウェア管理の手順
 一般的なソフトウェア管理手順としては、①ソフトウェアの導入に際して、導入したソフトウェアの情報を管理台帳に記載する、②管理に際しては、管理台帳を適宜更新して、必要に応じて監査を行う、③廃棄に際しては、外部業者に委託し、廃棄証明書を受領することなどが必要です。

3 ソフトウェアの管理の重要性
 中小企業においては、経営法務リスクマネジメントの一環として、他社の著作権の侵害による損害賠償請求等を避けるためにソフトウェアの管理規程の制定を含めた管理体制を構築することが必要となります。

4 回答
 Y社は何らかの情報に基づき、Y社の著作権を有しているソフトウェアについて、貴社が無断で複製している証拠をつかんだため、貴社に対してかかる請求を行っているものと考えられます。
 この場合、貴社がY社からの申出を放置しておくと、Y社は証拠保全を申立てて、その決定に基づき、貴社に立ち入って証拠保全を行うリスクがあります。
 このため、貴社としては、Y社の請求に対し、貴社が使用しているY社のソフトウェアについてライセンスを取得しているかどうかの調査を行って、回答せざるを得ません。