当社は、同族経営なので、取締役会はほとんど開催されていない状況でした。
そうしたところ、会社が資産を第三者に売却したのは不当であると、ある株主が言ってきました。
当社は、どのように対応すれば良いでしょうか。
(回答)
1 取締役会の開催
同族会社の中小企業であれば、取締役会設置会社といえども、取締役会が実際に開催されていない企業も相当あるのではないかと思われます。
ところで、取締役会は取締役全員で構成され、①会社の業務執行の決定、②取締役の職務の執行の監督、③代表取締役の選定及び解職を行う機関です。
代表取締役は3か月に1回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならないとされています。
つまり、原則として3か月に1回は取締役会を開催しなければならないことになります。
2 取締役会不開催のリスク
貴社において、取締役会が招集されておらず、代表取締役の職務執行の状況の報告が行われていなかった場合に、代表取締役の法令、定款に反する行為により会社に損害が生じた場合は、次のようなリスクがあります。すなわち、代表取締役のみならず、他の取締役も、適切に取締役会の開催を請求するなどして代表取締役の職務の執行を監督することを怠ったとして、会社に対して損害賠償責任を負うとともに、代表訴訟を提起されるリスクがあります。
3 必ず取締役会で決議しなければならない事項
会社法は、一定の事項については、必ず取締役会で決議しなければならないと定めており、これらの事項について取締役に決定を委任することはできません。
①重要な財産の処分及び譲受け
②多額の借財
③支配人(営業に関する一切の裁判上・裁判外の行為をする権限を持った従業員のこと)その他の重要な使用人の選任及び解任
④支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
⑤社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
⑥内部統制システムの構築に関する決定
⑦定款の定めに基づく取締役会決議による役員及び会計検査人の会社に対する責任の免除
⑧その他の重要な業務執行の決定
4 重要な業務執行とは
何が重要な業務執行に当たるかは、会社毎の具体的な事情により異なってきますが、重要な経営課題についての方針決定、例えば年間事業計画、年間予算、主力製品の決定・変更などは、これに含まれると考えられます。
一般的に、「重要な財産の処分及び譲受け」のメルクマールとして総資産の1%という目安が示されることがありますが、これはあくまで目安にすぎません。
重要かどうかこの判断が難しい事項については、念のため取締役会の決議を経ておくのが安全です。
しかし、あまりにも決議事項の範囲を広げてしまうと、それが会社の慣行となり、今度は、取締役決議の瑕疵の主張を許す範囲を広げることになるので注意を要します。
5 回答
貴社は、売却した資産が重要な資産である可能性があれば、改めて取締役会を開催し、会社資産の譲渡の承認の議決を採っておくべきです。